保育士「しの」のあれこれ

保育士歴5年目のしのです!保育に役立つ情報5割、その他5割でのんびりと更新していきます(*^^*)

場面緘黙症って何?2歳から発症の可能性あり。喋りたいのに声が出ない。徐々に好転させた筆者の体験談

こんにちは!保育士6年目のしのです。

 

今回は少しヘビーな話です。

 

今は子ども達や保護者の方、同僚の先生方と当たり前のように日々コミュニケーションを取ることができていますが、実は幼稚園時代~高校生まで「場面緘黙症」を患っていました。

 

場面緘黙症?初めて聞いた」「なにそれ?」という方も多いかと思います。

筆者も症状が改善した後、大人になってからネットで知り「私はこれだったのか」と安堵したのを覚えています。

 

この症状についての認知度を高めることで、今この症状に苦しんでいる方達の気持ちが少しでも和らぐと嬉しいです。

 

場面緘黙症って何?

「家庭などでは話すことが出来るのに、社会不安(社会的状況における不安)のために、ある特定の場面・状況では話すことができなくなる疾患である。 幼児期に発症するケースが多い。」(ウィキペディアより引用)

 

ざっくりいうと「特定の場所や場面で、喋りたくても声が出ない」という症状です。

人見知り・場所見知りとよく似ていますが、時間が解決しないという点でより深刻です。

2~5歳で発症するケースが多いようです。

 

症状にも程度の差があり、

軽度:家の外でも、自分が話をしているのを他の誰にも聞かれない状況でなら家族や昔からの友人と話すことができる。

重度:家の中以外では家族とも話すことができない。

とかなり幅があります。

 

筆者の場合は家とスーパー以外の場所で喋ることができませんでした。

 

「喋らない」ではなく「喋れない」のです。

話したいことは沢山あるのに、声を出そうとしても声帯が強張ってヒューヒューとなってしまう。

「えっ」と耳を寄せられるとさらに緊張して囁くことすらできない、そんな症状でした。

 

筆者の体験談

筆者は物心ついた幼稚園年中の頃から、幼稚園や学校といった沢山人が集まる場所での発言が苦手でした。

先生にあてられたときや歌のテストでは、勇気を振り絞って答えることができましたが、わからないことを質問したり、友達と雑談したり遊んだりということが全くできなかったのです。

 

幼少期は今以上に「場面緘黙症」が認知されていない時代でしたので、大人からは「自意識過剰だ」「人の好意を無下にするな」と言われ、学校の友達からは「気味の悪いやつだ」「どうせ喋らないやつだから」と距離をおかれ、

私自身も「何故みんなと同じように喋れないんだろう」「誰からも必要とされていないんだ」とマイナスな感情に日々囚われていました。

 

この性格なのでいじめられることもありましたが、幸か不幸かいじめに対してもあまりリアクションが取れないので、大きく発展することはありませんでした。

 

筆者が幼少期~大学生の期間に取り組んだこと

筆者がこの症状を改善するため、この症状を抱えたまま生きるために取り組んだことをご紹介します。

 

(小学~中学)

<周りから嫌われない努力>

・人の好まない仕事を進んで行う(掃除、植物の世話、虫の死骸の処分など)

・笑顔の練習(話しかけられたら笑顔で対応できるように)

・人にばかにされない成績を取る

・人に不快感を与えない

 

いじめが激しかったこの時期は、とにかく自分がいじめの標的にならないようにするために必死でした。結果としていじめは大きくなることはありませんでしたが、常に一人行動、一人ご飯でした。

 

<話す以外の自己表現の方法、精神安定の方法を見つける>

筆者の場合は、楽器演奏が自己表現の場、癒しの場となりました。

小学3年生でリコーダーを買ってもらうと、朝から晩まで吹いていました。

 

他にも本が好きだったので、休み時間は図書室に入りびたり、ひたすら好きな本を読んで過ごしました。

 

(高校)

<自分のことを知らない人たちばかりの環境へ行く>

高校で人生をやり直したい気持ちが強かった筆者は、同中から誰も進学する予定のない高校を選び、進学しました。

自分を「喋らない人」と認識している人がいる前では、どうしても話せる気がしなかったのです。

好転するかは賭けでしたが、この判断はとても良い判断だったと自分で思っています。

 

<荒療治:大声を出さなきゃいけない環境を作る>

高校入学し吹奏楽部に入った筆者は、「2か月後の演奏会で、曲の合間に1年生の有志がマイク無しで漫才を披露する」ということを知り、立候補します。

学校で解答を言うことはできたので、

セリフが決まっているなら大声をだせるかもしれない」と思ったからです。

 

 毎朝朝練と評して、ほかの生徒が登園してくる隣で声を張り上げる練習をしました。

ツラかったですが、これがきっかけで部活のメンバーと話せるようになり、ご飯を一緒に食べられる友達が初めてできました。

 

(大学)

<接客のバイトをする>

高校生活で少し自信がついた筆者は、大学生から接客のバイトを始めます。

しかしマニュアルがあると言えど、不特定多数の人と会話をするのは心理的な負担が大きく、初期はよくホール裏で泣いていました。

しかしそれも繰り返すうちに徐々に慣れ、半年後に行われた接客の良さを競う大会では全国8位を獲得します。

励ましながら育ててくれたバイトメンバーには本当に感謝しています。

 

<市民楽団・インカレサークルに参加する>

克服するためにはたくさんの人と会話しなくては、と当時心の支えだったサックスを武器に、手当たり次第に見学・体験を繰り返しました。

共通の趣味があったことで、緊張しながらも目上の人とも話せるようになりました。

 

周りの人にしてほしいこと

☆1対1で落ち着いて話ができる環境を作る

場面緘黙症は、周りにたくさん人がいる状態で話すのはとてもハードルが高いです。

なるべく人に注目されない、リラックスできるような場所で話題を振ってください。

最初は頷く、首を振るといったことで答えられる内容だと安心します。

 

☆話せないことを茶化さない、アドバイスしない

「なんか喋ってみてよ」と話すことを強要したり、奇跡的に話せたときに「喋った!」と過剰に反応されると委縮してしまうことがあります。

「喋っても大丈夫なんだ」と思えるような自然な空気を作れると素晴らしいです。

 

☆側にいる

場面緘黙症の人が怖いのは、班決めやチーム分けで余ってしまうことです。

どこに入りたいの?と聞かれても答えられない人がほとんどでしょう。

そういった時に一緒にやる?と聞いてくれると、心から感謝されるでしょう。

 

場面緘黙症でよかったこと

☆自分の好きなことに没頭できる時間があった

友達との時間が無かった分、1日中リコーダーやサックスを吹いたり、好きな本を何周も読んだり、とにかく心ゆくまで自分の時間を楽しめました。

 

☆自信がついた

文章で書くと当たり前で簡単なことのようですが、本当に勇気のいる行動ばかりでした。少しずつ乗り越えてきたことが、今自分自身の大きな自信に繋がっています。

 

☆友達の大切さ、有難さを実感した

幼稚園時代からずっと憧れだった友達。高校生でできた時は本当に嬉しかったです。当たり前の存在でないと知っているからこそ、大切にしたいと思います。

 

今症状を抱えている人もあきらめないで

場面緘黙症になる人は200人に1人くらいの割合だそうです。

今回は筆者の経験談を中心に書いてしまいましたが「私だけじゃないんだ」という励みになってくれると嬉しいです。

それに今はネットが発達したことで、この症状を抱えたままでも生きることができます。自分のペースで少しずつ症状と向き合っていってください。

 

場面緘黙症で悩んでいる方が少しでも生きやすい世界になりますように。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。